4月~6月は働きすぎると損をする?社会保険料の仕組みを知ろう
新しい年度が始まり、早くも一ヶ月が過ぎました。
年度の初めって仕事が忙しくなる時期ですが、あんまり働き過ぎないほうが良いのです。健康面からいってもそうなのですが、給与の手取り額が減る可能性があるからです。
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社会保険料の決まり方
給与から引かれている社会保険料(厚生年金保険・健康保険)は、自分の「標準報酬月額」により決まります。
例えば標準報酬月額が300,000円の人は、ひと月の社会保険料は40,000円ぐらいです。(40歳未満・協会けんぽ沖縄支部の場合)
だいたい給与の15%近くを持っていかれます。高い!!
この標準報酬月額は、毎年9月に改定されます。例外もありますが、大半の人はこのタイミング。じゃあ、その標準報酬月額ってのはどうやって計算されるのか気になりますよね。簡単に言うと、4月~6月に支給される給与を3で割った金額が標準報酬月額となります。
つまり、年度始めの4月~6月あたりに残業をたっぷりすると標準報酬月額が上がってしまう訳です。残業代ももちろん、支給される給与に加えられて計算されるからです。
この制度(算定と呼ばれる)の詳しい説明は、下記のサイトに分かりやすくまとまっていました。
算定の特例
ただし、業種によっては4~6月が繁忙期の人も多いはず。決算作業のある経理課とか、新入社員の対応をする人事課とか。
でも、前述したとおり4月~6月の給与にドンと残業代を加えられると社会保険料が上がってしまいます。この社会保険料額は、基本的には翌年の8月まで維持されるので、たまたま年度初めが忙しいだけで、1年間の社会保険料を高くされちゃかないません。
そんなクレームが多かったからなのか、そのような人向けの救済措置もあります。
年平均(年間の報酬額から平均値を出し、それを報酬月額とする)
通常の方法で算出された標準報酬月額と、過去1年分(7月~翌6月が単位)の報酬平均月 額を比較する(どちらも報酬支払基礎日数が17日未満の月を除いた月平均額から算出)。両者の間に2等級以上の差が認められ、それが通常、(繁忙期がある などのため)毎年同様の状況が繰り返される場合
ー社会保険の算定基礎届とは
簡単に言うと、「4月~6月の平均給与」と「1年間の平均給与」を比べて、毎年大幅な差があるような人は、1年間の平均額を標準報酬月額としてもいいよ、って制度です。
ちゃんとした事業所ならばこの特例を使っているでしょうが、中小企業だとやっていないところもあるかもしれません。そんなばあいは、自分が条件に合致するならば社会保険担当にお願いするとやってくれる可能性は高いはずです。
なぜならば、社会保険料は、本人が支払っている金額と同額を事業所も負担しています。つまり、従業員の社会保険料の抑制は、事業所のコストカットにもつながるのです。だからきっとやってくれるはず。たぶん。
社会保険料を下げることのデメリットとは?
社会保険料を抑えることばかり述べてきましたが、社会保険料が下がることによる不都合は無いのでしょうか?
実は、少しだけあります。下記の「貰えるお金」の額が下がってしまうのです。
- 各種年金
- 出産手当金
- 傷病手当金
各種年金とは、将来貰える老齢年金とかのことです。出産手当金とは、産前休業・産後休業中にも支給されるお金。傷病手当金とは、同様に病休で給与がないときに支給されるお金のことです。
これらの金額が少なくなりますが、個人的には社会保険料を下げたほうが得ではないかと考えます。
年金については、僕ら(30代)世代は払った額の元が取れないことが分かっています。また男性は、出産手当金はもらえませんし、病休をとることになる確率もそれほど高いとは思えません。
これらを勘案すると、今現在の支払い額を抑えたほうがいいのではないかというのが結論です。
あとがき
年度初めは働き過ぎないほうが良いって言いながらも、僕は残業をたくさんしてしまいました・・・。今のところ試算してみると、去年に比べて標準報酬月額の等級が一段階上がりそうです。一段階あがるだけで月額約3,000円、年額にして約36,000円も上がります。
やる気のある人は、残業の申請時間を調整して等級を上げないようにするって方法もありますが、計算を間違えると悲しいことになるので、そこはひとつ自己責任でお願いします。